「DX白書2023」から読み解く!日本に立ちふさがるDXの壁って一体何？

IPA（独立行政法人情報処理推進機構）が発行した「DX白書2023」によると、日本でDXに取組んでいる企業の割合は2021年度調査の55.8%から2022年度調査では69.3%まで増加しています。
しかし、その内訳を見てみると、全社戦略に基づいて取組んでいる割合は米国が68.1％なのに対し、日本は54.2%程度となっています。年を追うごとにDX化は進められているものの、全社戦略によるDXの取り組み状況はまだ半数程度であることが分かります。

出典：IPA（独立行政法人情報処理推進機構）「DX白書2023」 図表1-7 「DXの取組状況」より転載

何故日本が遅れているのでしょうか。「DX白書2023」から読み解いた主な原因をご紹介します。

DX白書の2022年度調査によると「IT分野に見識がある役員が3割以上いる」の条件で日米を比較すると、米国の約6割と比べ、なんと半数以下のわずか3割弱という衝撃的な結果となっています。
日本の経営層のIT理解の不十分さがDXの推進に大きな影響を及ぼしていることが推察されます。

出典：IPA（独立行政法人情報処理推進機構）「DX白書2023」 図表1-14「ITに見識がある役員の割合」より転載

IT分野に見識のない経営者は、DX推進によって目指す会社の明確なビジョンと具体的な行動指針を提示できるはずがありません。
しかし、何かしらDX化しなければと「システムを替えて業務効率化しよう」「AIを使って何かできないか」という漠然とした指示が現場に出され、目指すビジョンが分からず現場が混乱し、結果的にDX化が進まないという悪循環が発生してしまうケースも多いのではないでしょうか。
本来であれば経営層がコミットすべき多くの判断が適切にできていないことが、DX化を阻害する大きな要因となっているのです。

古いレガシーシステム（旧式の情報システム）を使用し続けているため、システムの更新や統合が難しく、新たなテクノロジーとの統合が困難となっている状況も課題となっています。
新しいデジタル技術を導入したとしても、データの利活用・連携が限定的であるため、その効果も限定的となってしまうといった問題が指摘されています。

「DX白書2023」によると、半分以上レガシーシステムが残っている割合でみると、米国の約23％に対して日本は約41％と倍近くを占め、日本企業によるレガシーシステムの刷新に遅れが生じていることが分かります。
ただ、DX取り組みなしの企業は「わからない」が40％超に比べ、DX取り組みありの企業は約8％と、DXへの取り組みによって現状のシステムの状況が可視化されており、取り組みによって現状の刷新に向けた契機にもなっていることが伺えます。

出典：IPA（独立行政法人情報処理推進機構）「DX白書2023」 図表1-31「レガシーシステムの状況」より転載

では、先に挙げた要因から脱するには、どうすればいいのでしょう。

まずは経営層側の意識改革が必要であるとともに、DX推進のビジョンや戦略だけではなく、「行動指針（社員全員のとるべきアクション）」も具体的に示し、エンゲージメントを高めていく必要があります。

また、DX化で収益向上を達成した企業では、全社を対象にトップダウンで一斉に実施したことが、成果に繋がっているという成功事例も挙げられています。 　　

開発面ではレガシーシステムの刷新も必要ですが、何よりも現行のシステムや仕組みに捉われず機敏な対応ができる「アジャイル開発」が重要な鍵となってきます。 　　

＼アジャイル開発とは？／

これまでは、大きなゴールを定め要件定義を作成し、工程を計画通りに一本道で作成する予測型の「ウォーターフォール開発」が主流でした。 しかし、この開発手法の場合、実際に完成してみると想定と異なっていたり、求めていたものと違うなど、本来のニーズと大きくかけ離れたシステムとなってしまうリスクがあります。
更に、一度計画して進んでしまった開発は途中で変更したくても軌道修正が難しく、無駄なコストがかかってしまうこともあります。
従来からある、「確立されたアナログ業務」をシステム化により効率化を目指す、いわゆる”デジタル化”においては「ウォーターフォール開発」は高い品質と想定された目標の達成などに大きく貢献してきました。
しかし、ビジネス自体の在り方を変革させる「DX」においてはゴールの方向感がある程度わかっていても、ゴール地点の具体的な姿は誰も持ち合わせていないため、そもそも計画的に積み上げていくことが難しい特性があります。

一方で、「アジャイル開発」の場合は、目標とするニーズに対して機能を分けて小規模な要件定義と開発を行い、最低限の機能でリリースを行うという特徴があります。
その都度ニーズと仕様にずれがないかを顧客と検証し、もしずれがあった場合は、柔軟に仕様を変更していきます。
「フィードバック」を元に素早く小規模な開発を繰り返すことで、最終的にニーズに最も近づいた完成品を作ることができるのです。

このように、驚くほどのスピードで変化しているこの社会において、システムの開発スタイルも変革が求められている状況です。
しかしながら、下図の通り、米国では53％以上が活用しているものの、日本では22％程度とまだまだアジャイル開発を活用している企業が少ない点が課題となっています。
この開発スタイルがトータルでのコスト圧縮につながる可能性があったとしても、これまでと同じく計画を前提とした開発予算を組まざるを得ない社内の構造などが、開発スタイルの変革を難しくしている面があると思われます。

出典：IPA（独立行政法人情報処理推進機構）「DX白書2023」 図表1-29「ITシステムの開発手法・技術の活用状況（開発手法）」より転載(※一部加工あり)

アイフィスの開発は、自社サービスの開発を行うための開発体制が起源となっています。
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検討を一緒に進める分、お客様側の協力も欠かせませんが、お客様側にも作ったサービスのノウハウが残る利点があり、結果として良かったという声もいただきます。 　　

いかがでしたでしょうか。
今回参考にしたIPAの「DX白書2023」では、ピックアップした視点以外にも様々なDXの課題が読み取れるレポートになっています。
DXの方針は経営層やシステム部門が考えることと割り切らず、ぜひ目を通してみてはいかがでしょう。
アイフィスも自社のDXだけではなく、お客様のDX推進にも貢献できるよう日々開発体制のレベルアップや業界の情報収集を行っていますので、ゴールがはっきりしない段階でも、ぜひお気軽にご相談ください！