FX取引の中でよく耳にする「相対取引」という言葉はご存知でしょうか。また、「相対取引という言葉は聞くけれども、どういう意味なのかよく分からない」「相対取引がFX投資にどのような影響を与えるのか知りたい」などと疑問を感じる人もいらっしゃるとおもいます。
この記事ではFXの相対取引について解説していきます。加えて、相対取引のメリットやデメリットも紹介します。この記事を読んで、相対取引とFX投資の関係性について理解し、FX取引に役立てましょう。
相対取引の意味・基礎知識とは?
まずは相対取引の言葉の意味や基礎知識について解説していきます。
相対取引とは当事者同士が価格や取引量を決めて行う取引のこと
相対取引」とは、当事者同士が価格や取引量を決めて行う取引のことを指します。FX取引では、FX会社とトレーダーで行われる取引が相対取引と言えます。
株式や外貨の取引を行う際には「取引所」を介して取引することになります。しかしFX取引では、取引所ではなく各FX会社のWebサイトで取引が行われます。このように取引所を利用しない取引に関しては、すべて相対取引となります。
市場取引との違いは取引スタイル
相対取引と反対の言葉として「市場取引」があります。市場取引とは、市場において不特定多数の投資家が取引を行うことです。
購入したい人と売却したい人が集まって取引を行います。一方、相対取引の場合、FX会社がトレーダーに対して為替レートを提示します。トレーダーは、そのレートが妥当だと判断したら為替の売買を行います。そのため、多数のトレーダーが集まって取引するわけではありません。
国内のFX会社のほとんどは相対取引
国内のほとんどのFX会社は相対取引となっています。取引所でのFX取引ができるのは「くりっく365」の1ヵ所のみです。取引所取引とは、取引所を介して金融商品の売買を行うことを指します。
「くりっく365」とは、東京市場取引所が2005年に開設し、運営しているFX取引所です。2019年3月時点の口座数は90万で、4600億円以上の証拠金預託額があります。
「くりっく365」ではマーケットメイク方式を採用しています。マーケットメイク方式とは、マーケットメーカーと呼ばれる銀行や証券会社がレートを提示して注文を受ける方式です。そのため、一般投資家は直接の取引には参加しません。
2021年3月時点でのマーケットメーカーは以下の6社です。
- 野村証券
- ドイツ証券
- コメルツ銀行
- 三菱UFJ銀行
- ゴールドマン・サックス証券
- バークレイズ銀行
相対取引の場合は、FX会社が独自でレートを決定しますが、「くりっく365」でのFX取引では、この6社が提示する安値と高値が現在の表示レートとして扱われます。
相対取引と取引所取引との違い
ここでは相対取引と取引所取引の2つの違いを紹介します。
価格レート
相対取引と取引所取引の1つ目の違いは価格レートの決定です。取引所取引では、実際の為替レートに基づいて取引がなされています。一方で相対取引では、取引をする当事者間で為替レートを決定することができます。
例えば、実際の米ドル円のレートが100円10銭であっても、提示した100円15銭のレートで購入者が現れれば取引が成立するのです。
取引できる通貨ペア
相対取引と取引所取引の2つ目の違いは取引できる通貨ペアです。相対取引では、価格レートを自由に決めることができるので、FX取引で扱える通貨ペアも増やすことができます。
一例として取引所取引の「くりっく365」では以下の通貨の取引が可能です。
- 日本円
- 米ドル
- ユーロ
- 英ポンド
- 豪ドル
- スイスフラン
- カナダドル
- ニュージーランドドル
- トルコリラ
- メキシコペソ
- スウェーデンクローナ
- ノルウェークローネ
- 香港ドル
- 南アフリカランド
- ポーランドズロチ
一方で相対取引を行っているFX会社の中には、これらの通貨ペアに加えて以下の通貨を扱っているところもあります。
- 中国人民元
- ロシアルーブル
- 韓国ウォン
- ブラジルレアル
中国人民元やロシアルーブルは、通貨バスケット制を採用しています。通貨バスケット制とは、複数の通貨に対して為替相場を固定する方式です。取引所取引では扱えない通貨ですが、FX会社では独自で価格を決定できるため取り扱いが可能となっています。
相対取引のメリットは自由度
ここでは相対取引のメリットを2つ紹介します。
スワップポイントを自由に設定できる
FX取引で利益を得る方法の一つにスワップポイントがあります。スワップポイントとは金利差調整分のことで、通貨ペアの金利差によって利益を得ることが可能です。取引所取引の場合には、実際の通貨の金利差に基づいてスワップポイントが付与されます。しかし、相対取引の場合は、自由にスワップポイントを決めることができます。
そのため、トルコリラや南アフリカランドなどの高金利の新興国通貨に関して、実際のスワップポイントよりも多く付与しているFX会社もあります。
取引通貨量を自由に決定できる
相対取引では、当事者同士が合意すれば通貨量も自由に決めることができます。取引所取引の「くりっく365」では、1万通貨の取引のみ可能です。しかし、相対取引を採用しているFX会社では1000通貨や100通貨、1通貨で取引可能なところもあります。
通貨量を減らしてリスクを抑えた取引をしたい人には、相対取引が便利でしょう。
相対取引のデメリットは?
相対取引は、スワップポイントや取引通貨量などを、当事者間で自由に決定できるというメリットがあります。一方で、取引所取引にはないデメリットもあるので注意が必要です。主なデメリットとして以下の2点に気をつけましょう。
取引が成立しないことがある?
相対取引のデメリットの一つは、取引成立まで時間がかかる可能性があることです。取引所取引の場合には、いつでも自由に取引に参加できます。一方で相対取引の場合は、当事者同士が合意しなければ取引ができません。そのため、FX会社が取引を拒否した場合には約定できないので注意が必要です。
FX会社が取引を拒否するケースとして急激な為替変動があります。米国の雇用統計の発表や政府による為替介入などでは、大きな為替レートの変動が起こります。FX会社の中には、万が一の事態に備えて変動中の注文については取引をしないこともあるので注意しましょう。
取引価格の透明性が低い
最後におすすめのFX会社2選を紹介します。相対取引を行っているFX会社から選ぶときには、スワップポイントやスプレッド幅、取引通貨量などをチェックしておきましょう。複数のFX会社を比較して、もっともお得に利用できる会社を選ぶのがおすすめです。
FX会社を1社に絞るのが難しい場合は、複数のFX会社の口座を開設して実際に取引してから選ぶのもおすすめです。一定期間使い比べてから1社に絞ることで、快適にFX取引ができるでしょう
おすすめFX会社①:GMOクリック証券
「GMOクリック証券」の特徴は、スプレッドの狭さや手数料の安さです。GMOクリック証券のスプレッドはDMM FXやGMO外貨などの他の大手2社と並ぶ安さとなっています。また、取引手数料や出金の手数料も無料となっています。
2024年3月時点で、大手FX会社の各通貨ペアの固定スプレッドは以下のとおりです。
通貨ペア | スプレッド(銭) | ||
---|---|---|---|
GMOクリック証券 | DMM FX | GMO外貨 | |
米ドル円 | 0.2 ※原則固定 |
0.2 ※原則固定 |
0.2銭 ※原則固定 |
ユーロ円 | 0.4 ※原則固定 |
0.5 ※原則固定 |
0.4銭 ※原則固定 |
ポンド円 | 0.9銭 ※原則固定 |
0.9 ※原則固定 |
0.9銭 ※原則固定 |
豪ドル円 | 0.5 ※原則固定 |
0.6 ※原則固定 |
0.5銭 ※原則固定 |
ニュージーランドドル円 | 0.7銭 ※原則固定 |
0.8 キャンペーン中 |
0.7銭 ※原則固定 |
※2023年9月6日現在
引用元: GMOクリック証券、 DMM FX、 GMO外貨
また、GMOクリック証券ではこだわりの取引ツールを各種そろえています。パソコン版アプリの「はっちゅう君」は、素早い注文に対応しており、新規、決済注文をワンクリックで済ませられます。チャート上から注文できるので、タイミングを逃すこともありません。
スマートフォンアプリも充実しており、さまざまな項目をスワイプ操作で簡単にチェックすることができます。日中に仕事をしているサラリーマンや家事で忙しい主婦にもおすすめです。
おすすめFX会社②:SBI FX トレード
SBI FXトレードの特徴は、1通貨からの取引が可能なことです。FX会社の中には、1万通貨単位からの取引のみ受け付けているところもあります。しかし、SBI FXトレードでは1通貨から取引ができるので、少ない資金でFXを始めることができます。
また、SBI FXトレードでは固定のスプレッド幅を狭くしており、米ドル円については0.00~0.09銭で設定しています。そのため、費用を抑えながら取引が行えます。加えて、SBI FXトレードでは取引できる通貨ペアが多く、ロシアルーブルやシンガポールドル、韓国ウォンや中国人民元にも対応しています。
取引所取引にこだわるなら「くりっく365」
相対取引ではなく、取引所取引でFX取引をしたい人には、「くりっく365」がおすすめです。実際の為替レートでの取引ができるので、安心して投資ができるでしょう。また、約定拒否といったトラブルも避けられます。
2021年3月時点で、くりっく365を取り扱っている会社は以下のとおりです。
- 外為オンライン
- 岩井コスモ証券
- インヴァスト証券
- FXブロードネット
- 岡三オンライン証券
- auカブコム証券
- 岡安商事株式会社
- 大和証券
- 立花証券
- 日産証券
- 豊トラスティ証券会社
- 株式会社フジトミ
- GMOクリック証券
- 住信SBIネット銀行
- 外為オンライン
- AIゴールド証券
条件別でFX会社を比較
初心者は最低取引単位で選ぶ
FXの最低取引単位は会社によって異なり、取引単位が小さいと少額で取引することができます。
例
- 1通貨(ドル/円)→資金100円
- 10000通貨(ドル/円)→資金45000円
少額取引ならリスクなく、FXの実践経験を積むことができます。
そこで、初心者の方には松井証券のFXをお勧めします。
松井証券のFXは1通貨単位から取引することができるFX会社です。
手数料(スプレッド)も業界最狭水準に設定されていて、FXを始める方におすすめです。
相対取引のメリットとデメリットを理解してFX取引をしよう
相対取引とは、当事者同士で価格や取引量を決める取引のことです。自由な取引ができるメリットがありますが、透明性が低いというデメリットもあります。
相対取引のFX会社を選ぶ場合には、スプレッドの幅やスワップポイント、取引通貨量などをチェックしましょう。そして自分に合った、お得に利用できるFX会社を選びましょう。
Q:FX会社はどこで取引していますか?また、FX会社を選ぶ際のポイントはありますか?
FX会社は「裁量取引」「長期スワップ投資」「FX自動売買」の3つの運用用途に応じて複数社を使い分けて利用しています。 裁量取引では主に「DMM FX」と「GMOクリック証券」を利用しています。裁量取引では売買回数が多くなることから、売買手数料にあたるスプレッドが低い会社を選んでいます。両社とも、スプレッドが業界最狭水準であることや、レートの安定性が高い点が強みです。 スワップ投資では、スワップポイント水準が高い会社を重要視しており、米ドル/円や南アフリカランド/円は「LIGHT FX」、メキシコペソ/円は「セントラル短資FX」を利用しています。通貨ごとにFX会社でも得意・不得意があるので、スワップポイントの水準やスプレッド水準をよく確認して選ぶことが大切です。