近年、日本において投資を行う機運が高まっています。多くの人にとって、お金は人生の中で重要な役割を担うという意識が芽生え、「貯金だけでは不十分」という意識が強まっているのです。
そのような中、国も国民に投資を促す目的で、NISA(少額投資非課税制度)を導入しました。NISAを導入することで投資する人の裾野を広げ、ゆとりある生活ができる人を増やそうとしています。 身近な人にも「NISAを利用して投資を開始した」という人も多くなってきていることでしょう。
NISAを利用すれば投資した一定額が非課税になるため、投資家に恩恵が大きい制度です。ただし、非課税になるからといって闇雲にNISAを利用するだけでは失敗してしまう可能性が高いです。 特に、これまで投資を行ったことがない初心者がNISAを利用する場合、事前にルールや仕組みを理解しておかないと大きく損をしてしまったり、大変な手間がかかってしまうことがあるので要注意です。
今回は、初心者がNISAで投資する際に失敗することがないよう、NISAのデメリットを紹介し、どのようなことに気を付けるべきなのか解説します。NISAに関する知識を身に付けて投資を始めてみましょう。
NISAとはどんな制度?
NISAとは、2014年1月にスタートした個人投資家向けの税制優遇制度です。NISAでは毎年非課税となる投資枠が設定され、上場株式、投資信託等の配当金や売却益等が非課税対象になります。
株式や投資信託などの金融商品に投資する場合、値上がりして得た利益や受取配当金に対して、通常約20%の税金がかかります。 しかし、NISAを利用すれば、毎年一定金額の範囲内で投資して得た利益が非課税になるのです。 イギリスのISA(Individual Savings Account)を参考にし、NISA(Nippon Individual Savings Account)という名称が付けられています。
NISAを利用するためには、通常の証券取引口座・投信口座とは別にNISA専用の口座を開設することが必要です。また、NISA口座は、1人につき1つの口座しか開設することができません。
NISAには20歳以上を対象に開設可能な「一般NISA」「つみたてNISA」、未成年を対象にした「ジュニアNISA」の3種類があります。 「ジュニアNISA」とは、2016年度から始まった未成年者を対象とした非課税制度です。未成年者(0〜19歳)を対象に、年間80万円分の非課税投資枠が設定され、上場株式、投資信託等の配当金や売却益等が非課税対象となります。
なお、口座開設の手続きや運用管理は親や祖父母等が行いますが、口座開設者本人は親や祖父母ではなく、子や孫自身(=未成年者)となることが特徴です。また、ジュニアNISA口座開設者である子や孫が20歳になった場合、自動的に成人用のNISA口座が開設されるので覚えておきましょう。
引用元:金融庁NISA特設ウェブサイト
「一般NISA」と「つみたてNISA」の違いとは
「一般NISA」と「つみたてNISA」の違い
- 「つみたて可能額」と「累積つみたて可能額」が違う
- ロールオーバーの有無
- 投資対象の幅が違う
20歳以上を対象に開設可能な「一般NISA」と「つみたてNISA」について確認してみましょう。 主な違いを整理しました。
一般NISA | つみたてNISA | |
非課税期間 | 5年 | 20年 |
年間非課税投資枠 | 120万円 | 40万円 |
ロールオーバー可否 | 可能 | 不可能 |
投資対象 | 投資信託、株式等 | 投資信託、ETF |
投資可能期間 | 2014年〜2023年 | 2018年〜2037年 |
引用元:金融庁NISA特設ウェブサイト
「つみたて可能額」と「累積つみたて可能額」が違う
「一般NISA」と「つみたてNISA」では1年間で投資できる「つみたて可能額」と、複数年かけて蓄積される投資総額である「累積つみたて可能額」に違いがあります。
一般NISA
120万円(つみたて可能額)×非課税期間5年=600万円(累積つみたて可能額)
つみたてNISA
40万円(つみたて可能額)×非課税期間20年=800万円(累積つみたて可能額)
「つみたて可能額」や「累積つみたて可能額」は、一般NISAの方がつみたてNISAより大きいため、短期的に利益を出したい方は一般NISAを選択すると良いでしょう。 一方、毎年比較的少額をコツコツと投資して長期的に利益を狙いたい場合は、つみたてNISAが適しています。
ロールオーバーの有無
一般NISAはロールオーバーができる一方、つみたてNISAは不可能という違いも覚えておくべきでしょう。
ロールオーバーとは、非課税期間が終了した時、保有している金融商品を翌年の非課税投資枠に移行(移管)することを指します。また、ロールオーバー可能な金額に上限はなく、時価が120万円を超えている場合でも、すべて翌年の非課税投資枠に移すことができます。
つまり、一般NISAでは非課税期間が終了してしまった場合でも、ロールオーバーを行うことで再び最長5年間非課税で運用を継続することが可能となります。
例えば、2017年のNISA口座で70万円を投資し、非課税期間終了となる2021年時点で90万円まで値上がりしていた場合を考えてみましょう。ここでロールオーバーを行えば、2017年に投資した時価90万円分(取得価格70万円+運用益20万円)を引き続き非課税で運用することができます。
この場合、2022年の非課税枠120万円のうち90万円分は利用したものとみなされるため、2022年に使える残りの非課税枠は30万円(120万円-90万円)となります。
投資対象の幅が違う
一般NISAとつみたてNISAは、投資できる対象が異なります。
一般NISA投資対象
- 投資信託
- 国内株
- 外国株
- 国内ETF
- 海外ETF
- ETN(上場投資証券)
- 国内REIT(J-REIT)
- 海外REIT
- 新株予約権付社債(ワラント債)
一般NISAで投資できる対象は投資信託、国内株、REIT等多岐に渡るため、色々な商品に投資してみたい方には向いているでしょう。
ただし、一般NISAで投資できない対象として、非上場株式、預貯金、債券、公社債投資信託、MMF・MRF、eワラント、上場株価指数先物、FX(外国為替証拠金取引)、金・プラチナ等がありますので気をつけましょう。
一方、つみたてNISAで投資できる対象は一般NISAに比べて限定されています。
つみたてNISAの対象商品は、手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した投資信託とETFに限られています。言い換えれば、金融庁が厳選した商品のみが対象となっているため、投資初心者でも安心して投資することができるのです。
引用元:金融庁NISA特設ウェブサイト
FAQ
Q.つみたてNISAの対象となっている投資商品はどれくらいあるの?
A.金融庁によると、2021年10月時点で、201本の商品がつみたてNISAの投資対象となっています。
つみたてNISA対象商品の分類
国内 | 内外 | 海外 | ||
公募投信 | 株式型 | 41本 | 13本 | 47本 |
資産複合型 | 5本 | 86本 | 2本 | |
ETF | 3本 | - | 4本 |
引用元:金融庁 つみたてNISA対象商品の概要について(2021年10月25日時点)
また、公募株式投資信託の場合、下記要件をすべて満たすものがつみたてNISAの対象となっています。
- 販売手数料がかからない(ノーロード)
- 信託報酬が低く抑えられている(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)
- 顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること(顧客一人一人に対して)
- 信託契約期間が無期限または20年以上
- 分配頻度が毎月でないこと
- ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと
引用元:金融庁NISA特設ウェブサイト
始める前に知っておきたいNISAのデメリットとは?
NISAのデメリット
- 複数の口座を作れない
- 非課税期間が最長5年まで
- 手続きが複雑
- 投資できる金額が年間120万円まで
ここまでNISAで非課税となる金額/期間や対象商品など、NISAに関する基礎的な知識を中心に解説してきました。投資して得た利益が非課税となるなどメリットが多いNISAですが、逆にデメリットもあります。
一般NISAを例にして、NISAを利用する際に気を付けるべきデメリットを説明します。
デメリット1:複数の口座を作れない
NISAは1つの口座でのみ作ることができ、複数の口座を作ることはできません。
金融機関の変更は可能ですが、毎年9月末までに手続きを行う必要があり、すでにNISA口座内で金融商品を購入している場合、変更できるのは翌年分からとなります。
また、金融機関の変更後、前のNISA口座で追加の金融商品の購入はできません。
複数の口座を作れないため、証券会社毎の特長を十分に活用して投資をすることが難しくなります。
証券会社によって、手数料の安さ、外国株取扱い銘柄の多さ、IPOの取扱いの多さ、ポイント還元など得意としている部分が異なります。複数口座を作ることができる場合、例えば、手数料の安いX社で国内株へ投資する一方、IPOの取扱いが多いY社でIPO投資をするというようなことが可能になります。
一方、1つの口座しか作れない場合、自分が選んだ1つの証券会社のメリットしか享受することができません。
また、口座を作った証券会社でサーバーや回線などのシステムトラブルが発生し、一時的に取引できなくなるリスクも無くはありません。もちろん倒産するリスクもゼロではないはずです。1つの証券口座しかなければ、トラブルが発生した場合、影響は大きくなるでしょう。
デメリット2:非課税期間が最長5年まで
一般NISAの非課税期間は最長5年です。
現在のNISA制度で金融商品の購入ができるのは2023年までとなっており、2023年購入分は2027年まで非課税で保有できることになっています。
つまり、NISAは恒久的に非課税の恩恵を受けられるものではなく、5年間という期間限定の制度になっているところがデメリットといえます。
また、非課税期間が終了した場合にとれる選択肢は3つあります。
- 売却(非課税期間終了までに)
- ロールオーバー(翌年の非課税枠へ移管)
- 課税口座へ移管
それぞれの選択肢について確認しましょう。
1. 売却(非課税期間終了までに)
利益が出ている株式や投資信託を売却した場合、全て非課税となります。翌年のNISA枠を使用しないため、翌年の非課税枠を大きく使うことができます。
2. ロールオーバー(翌年の非課税枠へ移管)
ロールオーバーとは、当年のNISA枠で持っている株式や投資信託を、そのまま翌年のNISA枠へ移すことです。これにより非課税で保有できる期間を5年延長することができます。なお、ロールオーバーには証券会社へ事前に申請が必要となります。
3. 課税口座へ移管
当年のNISA枠で購入した株式や投資信託を課税口座(特定口座または一般口座)へ移します。この場合、当年年末の終値で移管され、移管した後に発生した値上がり益や配当金には通常通り課税されます。また、課税口座への移管を選択する場合、証券会社等で手続きをする必要はありません。
デメリット3:手続きが複雑
NISAを開設するための手続きは複雑で時間がかかります。まず、本人確認書類とマイナンバー確認書類を準備する必要があるため、事前に取り寄せておく手間があります。
NISA口座開設の流れは2つあります。
1. 税務署での確認を待たずに開設する場合(最短で申込当日に取引を開始可能)
- 金融機関に口座開設を申請する
(この際、申請書類、本人確認書類、マイナンバー確認書類が必要となります) - NISA口座の開設が完了する
- NISA口座での取引が可能になる
- 税務署において二重口座でないことを確認される
(もし二重口座であった場合は、NISA口座で買付済の商品を買付日に遡及して一般口座に移管されるので注意して下さい)
2. 税務署での確認後に開設する場合(申込から取引開始まで、2〜3週間程度必要)
- 金融機関に口座開設を申請する
(この際、申請書類、本人確認書類、マイナンバー確認書類が必要となります) - 税務署において二重口座でないことを確認される
- NISA口座の開設が完了する
- NISA口座での取引が可能になる
引用元:金融庁公式サイト NISAを始める
このように、NISA口座を開設して取引可能な状態にするためには、マイナンバー確認書類等、事前に準備するものがあったり、税務署による二重口座チェックを受ける必要があったりします。慌てて口座開設しようとしてミスしないように気を付けましょう。
デメリット4:投資できる金額が年間120万円まで
一般NISAの投資上限が年間120万円であることもデメリットの一つです。
例えば、個別株に投資する場合、1単元70万円の銘柄を2単位購入したいとしましょう。70万円×2単位=140万円となり、年間の非課税上限である120万円を超過してしまいます。この場合、1単元分(70万円)は購入できますが、2単位目は購入できません。
せっかく残りのNISA枠が50万円(120万円ー70万円)あるのに、買いたい銘柄を購入することができないので悔しいところです。
NISAは少額投資非課税制度と言われるように、少額の投資を対象とした優遇制度のため、年間120万円を超えて多くの金額を投資したいと考える方にとっては物足りないと感じてしまうこともあるでしょう。
NISAはあくまで少額で使えることを念頭において、どの銘柄をNISAの対象にするか慎重に選んでいくことが重要です。
デメリット5:損失したのに税金がかかることも
NISA口座で保有していた金融商品で損失が出ても、他の課税口座の配当金や値上がり益と相殺することはできません。
NISA以外の課税口座であれば、同一年内の売買で発生した受取配当金/売却益と売却損は相殺させることが可能です。例えば、X株式で100万円の利益が発生した場合、利益100万円に対して約20%の税金がかかります。しかし、Y株式で同額の100万円の損失が発生していた場合は、同一年内での利益は0円となり、課税されることはありません。
具体的には、源泉徴収等でX株式から発生した利益に対する税金は支払い済みであっても、確定申告を行い損益通算を実施することで支払った税金が還付されます。
一方、NISA口座を利用している場合には、このような損益通算を実施することができず、課税口座のようなメリットを享受することができません。
例えば、NISA口座で100万円の損失が発生し、課税口座で100万円の利益が発生していた場合を考えてみましょう。NISA口座は損益通算の対象外となるため、100万円の損失と100万円の利益は相殺されることなく、課税口座で発生した100万円の利益に対する税金を支払う必要があります。
つまり、NISA口座と課税口座で発生する利益/損失をトータルで考えた場合では、税金を支払うべき利益が出ていないように見えるのですが、NISA口座が損益通算の対象外となるために課税されてしまうことになるのです。
NISA口座と課税口座で発生した利益/損失と課税対象
口座 | 利益 | 損失 | 課税対象 |
---|---|---|---|
課税口座のみ | 100万円(課税口座) | 100万円(課税口座) | 0円(損益通算される) |
課税口座+NISA口座 | 100万円(課税口座) | 100万円(NISA口座) | 100万円 (損益通算されない) |
また、NISA口座以外の口座で保有している金融商品をNISA口座へ移すことはできません。
年間120万円以内の投資額であっても、NISAを利用した非課税優遇を受けられるのはNISA口座で新たに購入した商品のみが対象となります。既にNISA以外の課税口座で持っている株式や投資信託があってNISA口座へ移管したいと思っても、制度上不可能です。
逆に、NISA口座で購入した商品を課税口座へ移管することもできないので注意して下さい。
その他デメリット・注意点
- 国内上場株式の配当金、ETF・REITの分配金は、証券会社を通じて受け取る場合(株式数比例配分方式を選択している場合)に限定して非課税となります。
- NISA口座内で収益分配金の再投資やスイッチングを行う場合、非課税投資枠がその分必要となります。
スイッチングや収益分配金の再投資は、新たに購入する時と同じように非課税投資枠を使います。 よって、当年の非課税投資枠を使い切っている場合には、NISA口座内での収益分配金の再投資やスイッチングはできません。
- 投資信託の分配金のうち、特別分配金は元本の払い戻しに相当するものであり、利益とはみなされません。よって、課税口座においても、そもそも非課税なので、NISAの非課税のメリットを受けることはできません。
引用元:金融庁NISA特設ウェブサイト
FAQ
Q 特別分配金とは?
A 投資信託の収益分配金には、税金がかかる「普通分配金」と、税金がかからない「特別分配金(元本払戻金)」があります。NISAは専用口座で運用する株や投資信託等の利益が非課税になる優遇措置ですが、もともと税金がかからない元本払戻金(特別分配金)の場合、課税口座でも非課税となります。
つまり、持っている投資信託の収益分配金が特別分配金(元本払戻金)で支払われる場合、非課税になるというNISAの恩恵を生かすことができなくなってしまいます。
株や投資信託等の金融商品の中には、分配金の一部あるいは全部が「特別分配金(元本払戻金)」で支払われることもあり、その場合、金額的な損失はないものの、NISA口座の非課税枠(年間120万円)を無駄に使ってしまうことになります。特に、毎月分配型の投資信託は特別分配金(元本払戻金)で支払われるケースが多いため、投資する商品を選択する際は、配当金の支払い方法も事前によく確認しておくことをおすすめします。
引用元:常陽銀行
「一般NISA」と「つみたてNISA」のデメリットを回避する方法
ここまで、NISAのデメリットを紹介してきました。
非課税となる期間や課税対象など難しいことも出てきて、NISAに対してハードルが高いと感じてきた方も多いのではないでしょうか。
そのような方へ向けて悩みを解決するため、「一般NISA」と「つみたてNISA」のデメリットを回避する方法について解説していきます。
一般NISAのデメリット回避方法
投資できる金額が年間120万円までに限られていることに対する回避方法
年間120万円という限られた非課税枠を有効に使うためには、商品選びが重要になります。NISAでは投資する商品を自分自身で選び、運用していくことになります。よって、値上がりが期待できそうな銘柄を選んだり、多くの配当金を受け取ることが可能な投資先を探していかないといけません。
投資初心者でNISA枠を使って投資する先を選ぶ自信がない方は、ファイナンシャルアドバイザーなどのプロに頼ってみるのが良いでしょう。株や投資信託を選ぶ際、「証券会社が発表するランキング上位の銘柄を買う」「聞いたことがある商品を買う」という安易な行動はおすすめできません。
株や投資信託で利益を出し続けていくためには、ある程度の知識と経験が必要になりますので、初心者のうちはプロと相談して投資先を決めることで、大きな失敗を回避できるでしょう。
手続きが複雑であったり時間がかかることに対する回避方法
NISA口座の開設は、マイナンバー確認資料の準備や税務署での二重口座チェックなどがあり、すぐにできるものではありません。
よって、期間に余裕を持って口座開設手続きを行いましょう。
投資初心者の場合は慣れない用語が多く、開設手順を理解するのに時間がかかってしまうことが多いため、証券会社の担当者などから理解できるまで詳しく説明を受けることで少しでも円滑に進めることがコツです。
特に、年末間際に口座開設手続きを行うと、年内での商品購入に間に合わず、当年の非課税枠を利用することができなくなるリスクもありますので注意しましょう。
また、株主優待目的で株式を購入する場合も日付に気をつけないといけません。
株主優待は、決められた日(権利確定日)までに株式を購入し、保有し続けていることが優待を受ける条件になります。NISA口座で株主優待を受けようと思っている方は、権利確定日を意識すると良いでしょう。
つみたてNISAのデメリット回避方法
投資できる先が少ないことに対する回避方法
つみたてNISAで購入できる商品は、金融庁が定めた基準を満たした投資信託やETFに限られています。つみたてNISAの対象商品となる条件として、販売手数料0円(ノーロード)、低い信託報酬などがあり、長期運用においては大きなアドバンテージとなります。
しかし、投資できる商品が限定されていることは、選択肢が少ないことに繋がりデメリットにもなります。投資に慣れてきて幅広い金融商品に投資したい方は、つみたてNISAではなく一般NISAを選ぶと良いでしょう。
投資上限が年間40万円に限定されていることに対する回避方法
つみたてNISAは、年間40万円までしか非課税となる枠がありません。
月あたりに換算すると約3万3333円ですので、人によっては物足りない金額かもしれません。
その場合、年間上限120万円が非課税となる一般NISAへ変更するのも良いですし、つみたてNISAの非課税枠を満額利用して長期的に値上がりが期待できる商品を購入することに加え、課税口座でその他保有したい商品を購入するという方法も良いでしょう。
FAQ
Q.一般NISAとiDeCoにはどんな違いがある?
一般NISAとは、専用口座を開設して金融商品に投資した際、値上がり益や配当金に対する税金が非課税になる制度です。 毎年120万円までの投資にかかる金額を上限に、最長5年間(最大600万円)非課税にすることができます。
一方、iDeCoは「個人型確定拠出年金」の愛称であり、個人で毎月お金を拠出する年金制度のことです。毎月の掛金は最低5000円から始めることができ、老後に備えた資産形成を国が後押しする目的で作られました。以前までは加入するための資格に制限がありましたが、2017年の制度改正で現役世代の国民ほぼ全員が加入できるようになりました。
iDeCoのメリット
- 掛金が全額所得控除される
- 運用して得た利益は全額非課税となる
- 受取時も様々な控除あり
Q.新NISAとはなんですか?
現在、一般NISAで投資できる期間は2023年までとなっていますが、新NISAでは5年間延長されて2028年までに変更となります。
新NISAでは投資できる上限が、1階部分20万円、2階部分102万円の2階建ての仕組みになります。そして、より多くの国民に積立・分散投資を経験してもらうため、原則として2階の非課税枠を利用するためには1階での積立投資を行う必要があります。
よって、投資対象のイメージは、1階がつみたてNISAと同じような積立・分散投資に適した投資信託など、2階が株式や投資信託等になることが特徴です。
なお、新NISAへの変更は金融庁出典の「令和2年度税制改正について」中における「NISA制度の見直し」の考え方に基づくものです。
(抜粋)
4.基本的な制度としては、非課税期間5年間の一般NISAについては、より多くの国民に積立・分散投資による安定的な資産形成を促す観点から、積み立てを行っている場合には別枠の非課税投資を可能とする2階建ての制度に見直したうえで、口座開設可能期間を5年延長する。投資対象商品については、1階部分はつみたてNISAと同様とし、2階部分は、現行の一般NISAから高レバレッジ投資信託など安定的な資産形成に不向きな一部の商品を除くこととする。
引用元:金融庁公式サイト 令和2年度税制改正について
Q.NISAでは、どんな商品を買えばいい?
NISAを利用して投資をする場合、値上がり益を期待できる商品を選ぶようにしましょう。NISA枠内で購入した場合、値上がり益は全て非課税となるため、できるだけ利益の幅が大きくなるものがお得になります。
また、配当金が多い商品もおすすめです。NISA口座で国内株式の配当金を受け取った場合、配当金は全て非課税になります。ただし、国内株式の配当金受け取り方法を、証券会社で受け取る「株式比例配分方式」に設定しておく必要がありますので注意して下さい。
ある程度日本株に投資してきた人であれば、海外の商品へ投資することを検討するのも良いでしょう。複数の国へ投資しておくことでリスク分散を図れます。
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